5年後の目標が、1年で叶った。その経営者がやった、一つだけのこと。

支援が終わって約1年後、一本の連絡が届きました。
「支援を終える時に描いた、5年後の目標を達成しました。」
1年で、です。
この経営者さんは自分の選択から逃げることなく、決めたことはやり遂げる方だと知っていたので「どんなことをされたんですか?」と伺いました。
返ってきた答えは、拍子抜けするほどシンプルなものでした。
「理念とブランド戦略を印刷して、ブレそうになるたびに見直しました。」
それだけでした。
支援中に、何度も立ち返った場所
この経営者さんとは、1年間のブランディングやマーケティングの伴走支援というお約束でした。
「5年後どのようになっていたいか。」から始まり、そのための「売り上げの構成比を部門ごとに割り出し、サービス内容と照らし合わせて戦略を立てる」予定でした。
しかし、お話を伺うたびに少しずつズレが生じてきました。
そこで、「5年後、『本当は』どのようになっていたい?」に立ち戻り、本当に思っていることを言葉にすることの方が先だという答えに辿りつきました。
それまでにも、言葉にされている「想い」はあったのですが、本当に感じていることが、微妙にズレていたんです。より詳細に戦略に落とそうとするたびに、噛み合わない感覚が出てくる。
そのたびに、私たちは理念そのものに立ち返りました。
「本当に自分が感じていることは何か。」「本当に信じていることは何か。」「本当にやりたいことは何か。」
そこを丁寧に掘り直してから、もう一度ブランド戦略へと進む。このプロセスを、支援の中で2度、3度繰り返しました。
遠回りに見えるかもしれません。でも、この立ち返りがあったからこそ、支援が終わった後も、その方はご自身の選択に戻ることができた。
理念が迷ったときに戻れる場所になっていました。
人は、本当に見ようとしたものしか見えない
欲しいと思った車が、急に街で目に入るようになった経験はないでしょうか。情報が増えたわけではありません。以前から同じ数だけ走っていました。でも「気になる」と感じた瞬間から、見えるものが変わった。
経営も、同じです。
自分が本当に感じていること、本当に信じていることが言葉と整合して一本の線になっていれば、それは原動力や判断の基準として自然に機能します。迷う場面で、立ち戻れる場所がある。チャンスが目に入るようになる。「これは今やることではない」と、静かに選択できるようになる。
逆に、頭で整えた言葉「こう言った方がいい」と思って作った理念は、自分の中で一致していません。だから、戦略を積み上げようとすると、どこかでズレていく。これは多くの企業の中で起こっていることの一つだと思います。
戦略の場面でブレてきたのは、まさにここに理由がありました。
やったことは、一つだけ
弊社での支援は、その経営者さんに何かを教えたわけではありません。その方の中にあったものを、ご本人の言葉で掘り起こすお手伝いをした。
理念は、作るものではなく、本質を引き出した先にあるものだと思っています。
これまでの人生と事業の中で「信じるようになったこと」「変えたいと思ったこと」――そこに、理念の素材はすでに存在しています。
それがその人の本質に繋がる言葉になったとき、経営者自身の選択や判断が変わります。戦略が地に足のついたものになります。組織への伝わり方が変わります。そして、自ら進んでいける組織に成長する。
5年後に描いていた景色が、1年後に見えることがある。
それは、決して偶然ではないと、私は思っています。
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